保育士試験とは?試験内容や難易度・勉強方法について解説!
保育士は、毎日元気な子どもたちと触れ合うことができる、非常に人気のある職業です。しかし、保育士を目指すためには、難易度の高い保育士試験に合格する必要があります。そこで今回は、保育士試験の内容や概要を詳しく解説し、合格までに必要な勉強時間や効率的な勉強法も紹介します。保育士を目指している方は、ぜひ参考にしてください。
保育士試験とは
保育士試験は、保育士資格を取得するための試験です。
保育士は「児童福祉法」に基づく国家資格であり、専門的な知識や技術を持って、子どもの保育や保護者への保育指導を行う職業と定義されています。
保育士試験は毎年2回、前期と後期に実施され、筆記試験9科目と実技試験2分野(3分野のうちから2分野を選択)で構成されています。
まず、マークシート方式の筆記試験が連続する2日間で行われ、すべての科目で6割以上(50点満点の科目では30点以上)を得点すれば、実技試験に進むことができます。
また、筆記試験に合格した科目には3年間の有効期間が設定されており、3年以内に再受験する場合、合格済みの科目の受験が免除されます。
対象地域の限定がある地域限定保育士制度とは?
地域限定保育士制度は、保育人材の不足を解消するために導入された制度です。
国家戦略特別区域に指定された自治体では、全国共通の保育士試験とは別に、地域限定保育士試験が実施されます。
ただし、試験を実施する自治体は年度ごとに異なり、試験日程は各自治体から発表されます。
地域限定保育士試験に合格した場合、最初の3年間は合格した自治体でのみ働くことが求められます。
しかし、4年目以降は全国どの地域でも働けるようになります。
地域限定保育士と一般の保育士の間で、受験資格や試験内容に大きな違いはありません。
ただし、対象地域によっては、実技試験の代わりに実技講習や実習を受けることで、実技試験が免除される場合もあります。
保育士試験の合格率や難易度はどれくらい?
保育士試験の合格率の推移を見ると、平成22年度の合格率が11.4%だったのに対し、令和3年度の合格率は20.0%と、約2倍に上昇しています。
それでも、これらの合格率を考慮すると、保育士試験は依然として難易度が高く、10人が受験しても合格できるのはわずか2人という狭き門であることがわかります。
保育士試験の合格率が低い最大の理由として、筆記試験が9科目にわたり広範囲から出題されるうえ、すべての科目で6割以上の得点を求められる点が挙げられます。
受験する年によっては問題が難化する科目もあり、すべての科目で6割以上の得点を取れる理解力がなければ、不合格になる可能性が高まります。
ただし、合格した科目には3年間の有効期間が設けられているため、前期と後期を合わせて数回受験し、余裕を持って合格を目指す人も少なくありません。
直近5年の受験者数・合格者数の推移はどれくらい?
過去5年間、毎年およそ5万人が保育士試験を受験していますが、合格率はおおむね20%前後で推移しています。
以下のグラフからも、保育士試験の難易度の高さと、保育士という職業がいかに専門性を求められるかがわかるでしょう。
保育士試験の合格に必要な勉強時間とは?
保育士試験に合格するために必要な勉強時間は、一般的に100~180時間とされています。
毎日1時間ずつ勉強すると仮定すると、学習期間はおおよそ3~6ヵ月かかる計算になります。
ただし、この期間はあくまで目安であり、学習環境や科目の得意不得意によって、個人差が生じることもあります。
保育士試験の勉強では、継続的な取り組みが重要です。
確実に学習を進めるためには、スケジュール管理とモチベーションの維持が鍵となります。
保育士試験には筆記試験と実技試験がある
【保育士試験】試験科目・配点・試験形式
現在、保育士試験は年に2回、前期と後期に分けて実施されており、令和6年度の試験日程は以下の通りです。
試験には、マークシート方式の筆記試験(8教科9科目)と、実技試験(3分野のうちから2分野を選択)があります。
筆記試験に合格すると、実技試験の受験資格が得られます。
筆記試験の配点は、「教育原理」と「社会的養護」が各50点満点、その他の7科目が各100点満点です。筆記試験に合格するためには、各科目で6割以上の得点が必要です。
試験日 |
試験科目と配点 |
---|---|
前期:4月20日(土) |
・保育の心理学 100点 |
前期:4月21日(日) |
・教育原理 50点 |
前期:6月30日(日) |
・音楽に関する技術 50点 |
引用元:令和6年試験案内|一般社団法人全国保育士養成協議会 (hoyokyo.or.jp)
【保育士試験】筆記試験の科目と出題範囲
筆記試験はすべてマークシート方式で行われます。
試験範囲は8教科9科目にわたり、各科目から10~20問が出題されます。合格ラインは20点満点の科目で12点、10点満点の科目で6点以上です。
また、合格した科目には3年間の有効期間が設定されており、その期間内に再受験する場合は、合格済みの科目が免除されます。
ただし、「教育原理」と「社会的養護」は、どちらか一方だけでなく、両方ともに6割以上(各科目で30点以上)得点しなければ合格と認められません。
出題科目 |
出題範囲 |
問題数 |
---|---|---|
保育原理 |
・保育の意義及び目的 |
20問 |
教育原理 |
・教育の意義、目的及び子ども家庭福祉等との関連性 |
10問 |
社会的養護 |
・現代社会における社会的養護の意義と歴史的変遷 |
10問 |
子ども家庭福祉 |
・現代社会における社会福祉の意義と変遷 |
20問 |
社会福祉 |
・現代社会における社会福祉の意義と歴史的変遷 |
20問 |
保育の心理学 |
・保育と心理学 |
20問 |
子どもの保健 |
・子どもの健康と保健の意義 |
20問 |
子どもの |
・子どもの健康と食生活の意義 |
20問 |
保育実習理論 |
・保育実習理論 |
20問 |
【保育士試験】実技試験の試験科目・配点・出題範囲
保育士試験の実技科目では、「音楽に関する技術」「造形に関する技術」「言語に関する技術」の3分野の中から2分野を選んで受験します。
各科目の配点は50点満点で、選択した2分野それぞれで30点以上を取得することで合格となります。
出題内容は各分野で異なり、受験申請書提出後に選択を変更することはできません。
まずは、自分の得意な分野を選び、計画的に対策を進めることが重要です。
出題科目 |
出題範囲 |
配点 |
---|---|---|
音楽に関する技術 |
幼児に歌って聴かせることを想定して、課題曲2曲を楽器を演奏しながら歌う |
50点満点 |
造形に関する技術 |
当日に発表される問題や条件に(保育園での活動の一場面について)に沿った絵を、色鉛筆や鉛筆を用いて絵を描く |
50点満点 |
言語の関する技術 |
設定されたテーマ(4つの題材から選択)をもとに、15名程度の3歳児が集中して聴けるような「3分間のお話」をする |
50点満点 |
【保育士試験】実技試験の課題内容
「音楽に関する技術」の試験では、幼児に歌って聴かせることを想定し、毎年変わる課題曲2曲を、ピアノ、ギター、アコーディオンのいずれかの楽器で弾きながら歌います。
「造形に関する技術」では、試験当日に提示される問題文と条件に基づき、保育の一場面を絵画で表現します。
「言語に関する技術」では、4つの題材から1つを選び、約15人の3歳児クラスに向けて「3分間のお話」をする試験が行われます。
保育士試験の試験概要
保育士試験の試験日程
保育士試験は毎年前期と後期に分かれて2回実施されます。筆記試験は連続する2日間、実技試験は1日で行われます。
- 前期の試験日程:(筆記)例年4月中旬ごろ(実技)例年7月上旬ごろ
- 後期の試験日程:(筆記)例年10月中旬ごろ(実技)例年12月上旬ごろ
なお、自然災害などで試験が実施できなかった場合でも、再試験は行われません。
保育士試験の受験料
- 筆記試験・実技試験のいずれかを受験する場合の受験手数料:12,700円
なお、申請や支払いに際して別途必要な事務手数料は、申請方法(オンラインまたは郵送)や支払い方法(クレジットカード、コンビニ払い、郵便局払い)によって異なります。
保育士試験の試験会場
保育士試験の試験会場は各都道府県に1カ所以上設置されており、出願時に受験する都道府県を指定できます。
現住所以外の都道府県での受験も可能ですが、試験会場の指定はできません。また、試験会場は前年と異なる場合があります。
保育士試験の受験資格
保育士試験には年齢制限はありませんが、受験資格の条件は最終学歴によって異なります。
高等学校卒業または中学校卒業の場合、該当する施設での実務経験に関する条件を満たせば受験することができます。
保育士試験の受付期間
- 前期試験の受付期間:例年1月中旬から下旬まで
- 後期試験の受付期間:例年7月上旬から下旬まで
郵送申請の場合、申請書の消印が最終日当日であれば有効です。受付期間や試験日程などの詳細は、「一般社団法人全国保育士養成協議会」の公式HPで確認できます。
保育士試験の合格発表
- 前期の合格発表:(筆記)例年6月頃(実技)例年8月頃
- 後期の合格発表:(筆記)例年11~12月頃(実技)例年1月頃
保育士試験の筆記試験全科目に合格すると、申請方法に関わらず「実技試験受験票(筆記試験結果)」が郵送されます。
実技試験の合格通知は、申請方法によって異なります。
保育士試験合格に向けた効率的な勉強方法は?
【筆記試験】インプットとアウトプットを行い対策をする
保育士試験に合格するためには、徹底的な筆記試験対策が不可欠です。
筆記試験の出題範囲は9科目と広範囲であるため、インプットとアウトプットを反復する学習が効果的です。
まずは基礎知識を確実に定着させるために、要点が明確にわかるテキストを用いて全体の流れを把握します。
特に暗記が必要な科目は、テキストを繰り返し読み込むことが効果的です。
基礎知識を身につけたら、過去問や予想問題を解くことでアウトプットを行いましょう。
間違えた箇所は再度テキストや解説で確認し、理解を深めることで知識を確実に定着させることが重要です。
【実技試験】自分の得意分野の科目を選択して練習する
実技試験の対策では、自分の得意分野を選び、繰り返し練習することが重要です。
「音楽に関する技術」では、試験前に発表される課題曲を繰り返し練習し、子どもの興味を引き、共感を得られる演奏と歌唱の技術を磨いておきましょう。
「造形に関する技術」では、過去の課題を参考に複数のテーマを想定し、時間配分を意識しながら練習することが有効です。
「言語に関する技術」では、自分ひとりでの練習だけでは気づけない点が多いため、家族や友人に協力してもらい、実際に人前で話す機会を設けると良いでしょう。
保育士試験は働きながらでも取得できる?
働きながら保育士資格を取得することは可能ですが、勉強時間の確保が大きな課題となります。
仕事をしている場合、1日に確保できる勉強時間は限られるため、試験日の約6ヵ月前から長期的かつ効率的な試験対策を始め、仕事との両立を図ることをおすすめします。
保育士の資格取得を最短で取得するためには?
保育士資格を家事や仕事をしながら最短で取得したい方には、ヒューマンアカデミーの通信講座「保育士講座」がおすすめです。
この講座の受講者の合格率は約70%で、試験合格に直結する知識を徹底的に絞り込み、必要最小限の学習量で最短6ヶ月での合格を目指します。
「見る×聴く×書く」の3方向から反復学習が可能なオリジナル教材や、双方向型オンラインライブを活用できるだけでなく、実技試験の直前には講師からの直接指導や添削が受けられるオンラインセミナーも開催されるなど、学習時期に応じた的確な試験対策が受けられます。
保育士試験の合格を最短ルートで狙うなら、ヒューマンアカデミーの「保育士講座」をぜひご確認ください。
関連リンク:https://haec.athuman.com/shop/pages/nursery-teacher.aspx
まとめ
保育士は専門的な知識と技術を必要とする職業であり、合格率が20%前後である保育士試験の難易度の高さは当然とも言えます。
しかし、効率的な学習を積み重ねて挑めば、短期間で保育士資格を取得することは十分可能です。
筆記試験は9科目にわたり、合格に直結する幅広い知識が求められます。
重要なのは、着実に知識を身につけることです。まずは、暗記系の科目に対して反復学習を取り入れるなど、自分の勉強スタイルやライフスタイルに合った学習方法を見つけましょう。