保育士になるには?社会人からなれる?資格の取得方法や保育士になるまでの流れを解説!

保育士は、国家資格のひとつであり、少子化が進む中でも共働き家庭の増加により、ますます需要が高まっています。保育士資格は、条件を満たせば何歳からでも目指すことができるため、社会人になってから保育士を目指す方も少なくありません。
この記事では、保育士資格の取得方法や取得までの流れ、学習方法などについて解説します。また、保育士に向いている人の特徴や、保育士試験についての疑問についても紹介します。

保育士になるために必要な資格は?

保育士は、小学校入学前の子どもたちを預かり、日常生活をサポートする仕事です。子どもたちが安全に過ごせるように、保育に関する知識や責任が求められます。また、子どもだけではなく、保護者ともコミュニケーションをとって、適切な指導やサポートも行います。保育士として働くには、国家資格である「保育士資格」を取得しなければなりません。

保育士資格を取得する方法は2つです。1つ目は、厚生労働省が指定する保育士養成施設で所定の課程を修了すること。2つ目は、保育士試験に合格することです。どちらかの条件を満たした後、保育士としての登録を行い、保育士証の交付を受けることで、正式に保育士として働くことができます。

保育士に年齢制限はある?

保育士になるための年齢制限はありません。保育士資格を取得する条件を満たせば、年齢に関係なく保育士として働くことができます。

保育士試験を受ける際の年齢制限も設けられていないため、経験や年齢に関係なく、さまざまな人が目指すことのできる職業です。

ただし、保育士試験の受験資格は、高校を卒業した年度などによって違いがあるため注意が必要です。

保育士になるまでの流れ

まずは、保育士になるまでの流れを説明します。進路の選択から資格取得まで、いくつかの重要なステップがあります。

  1. 進路の選択
    「保育士養成施設に進学する」か、「保育士試験を受験する」かを選ぶ
  2. 受験資格の獲得
    (※受験資格がない場合)
  3. 保育士資格のための学習
    保育士養成施設に進学の場合…指定養成施設で所定の課程を履修
    保育士試験を受験をする場合…保育士資格試験の学習
  4. 保育士試験の申込
    保育士試験を受験する場合は試験日を確認し確認し申し込みをする
  5. 保育士資格の取得
    保育士養成施設に進学の場合…所定の課程を履修し卒業
    保育士試験を受験をする場合…筆記試験・実技試験の合格
  6. 保育士登録の申請
    養成施設卒業者または試験合格者として、都道府県知事に保育士登録の申請を行う
  7. 保育士証の交付
    保育士登録後、保育士証が交付される

最終学歴別保育士資格の取得方法

高卒から保育士資格を取得する①

厚生労働省指定の保育士養成施設である大学(4年制)、短大(2年制)、専門学校(2年制・3年制)のいずれかに進学をし卒業すれば、試験なしで保育士資格を取得することができます。

短大や2年制専門学校では基礎的な知識を学び、大学や3年制専門学校では、心理学などの座学に加え、実習も受けられます。早くから保育について学びたい場合には保育コースがある高校を選択する方法もあります。

高卒から保育士資格を取得する②

高卒で保育士になる場合には「保育士試験を受験して合格する」という方法でも保育士資格を取得できます。

ただし、平成3(1991)年3月31日までに高校を卒業している場合はそのまま受験資格がありますが、高校卒業が平成3(1991)年4月1日以降の方は、2年以上かつ2880時間以上の保育所や児童養護施設など児童福祉法7条に基づく施設での勤務経験が必要です。(※2024年10月現在)

中卒から保育士資格を取得する方法

5年以上かつ7200時間以上保育所や児童養護施設など児童福祉法7条に基づく施設での勤務経験があれば、保育士試験の受験が可能です。

または、文部科学省が行う高等学校卒業程度認定試験(高卒認定試験)の合格をし、厚生労働省指定の保育士養成施設(大学・短大・専門学校)に進学し資格を取得をする方法もあります。

大学・短期大学卒から保育士資格を取得する

大学卒業後に、厚生労働省指定保育士養成施設(大学・短大・専門学校)に進学して、資格を取得することが可能です。

また、学校教育法に基づく大学を卒業していれば、保育と関係ない学部でも保育士試験の受験資格を有しています。保育士試験に合格すれば保育士資格を取得することができます。

大学在学中や中退した場合でも、2年以上大学に在学、62単位以上修得済みであること等の条件をクリアしていれば受験資格があります。

受験資格の詳細は、全国保育士養成協議会の公式サイトで確認できます。
https://www.hoyokyo.or.jp/

保育士試験の概要

保育士試験の日程

令和6年度試験

前期試験
筆記試験:令和6年4月20日(土)、21日(日)
実技試験:令和6年6月30日(日)

後期試験
筆記試験:令和6年10月19日(土)、20日(日)
実技試験:令和6年12月8日(日)

試験回数は前期と後期の年2回あります。保育士試験には筆記試験と実技試験があり、筆記試験の合格者が実技試験を受けることができます。

例年、前期は筆記試験が4月・実技試験が7月。後期は筆記試験が10月、実技試験が12月に実施されます。(※令和6年度は実技試験が6月)

受験条件

最終学歴によって規定が決められていますが、規定を満たせば、学歴に関係なく保育士試験の受験が可能です。

主な受験条件は下記のとおりです。

大卒、短大卒の場合
保育士とは関係のない学部学科であっても、卒業すれば受験が可能

専修学校(専門学校)卒の場合
・学校教育法に基づいた専修学校であること
・卒業した課程が修業年限2年以上専修課程であること

これら二つの条件を満たしている場合のみ受験可能
ただし、1996年3月31日以前に保育科の高校を卒業している場合は受験資格あり

高卒の場合
卒業年度により異なります。
・1991年3月31日以前に高校を卒業している場合は無条件で受験資格あり
・1991年4月1日以降の高校卒業者は、児童福祉施設で2年以上かつ2880時間以上の実務経験が別途必要
ただし、1996年3月31日以前に高校の保育科を卒業している場合は実務経験不要

中卒の場合
児童福祉施設で5年以上かつ7200時間以上の実務経験があれば受験資格あり

大学・短大・専門学校在学中、4年生大学中退の場合

短大・専門学校・4年制大学に在学中または中退であって2年の在学、所定単位の履修等の条件を満たしている場合受験可能

※上記条件に該当しない場合は全国保育士養成協議会HPで確認または問い合わせください。
https://www.hoyokyo.or.jp/

保育士資格取得のための勉強方法

通学する

保育士養成施設に通学して学ぶ方法です。大学や短大・専門学校などの教育機関で、保育に関する幅広い知識を学びながら、実際の現場で活かせる実技スキルを養うことができます。

学校で授業を受けることは、その場で講師にわからないことを質問できたり、直接的な指導やサポートを受けられる環境が整っているため、とても良い勉強方法と言えるでしょう。

また、保育士養成施設では、保育現場での実習が必修であるため、子どもたちとのコミュニケーション方法や、遊びや教育の実技、緊急対応などを実際に体験しながら学ぶことができます。これは、とても実践的で、即戦力として働ける知識を養うことができます。

ただし、指定保育士養成施設に通学するには2~4年の学習時間と、約200~500万円程度の学費が必要です。

独学で勉強する

独学は、テキストや過去問題集を自分で選んで学習を進める方法です。独学は、学習費用を抑えたい方や、柔軟なスケジュールで、自分に合ったペースで学びたい方に適しています。テキストや参考書を実費で購入する必要がありますが、学習費用を1万円程度に抑えることができます。

独学では、まず自分に合った教材を探して保育の基礎を学び、次に過去問や模擬試験を活用して応用力を養うのが効果的です。保育士試験は出題範囲が広く、合格率も比較的低いため、効率的な学習計画が重要です。

独学の最大のメリットは、自分のペースで自由に勉強を進められることです。しかし、モチベーションを保ち続ける工夫が必要です。また、法改正や最新情報などの情報収集も自分でしなければなりません。

通信教育講座で勉強する

通信教育講座は、通学せずに自宅で学ぶことができるため、通学が難しい人に非常に便利な勉強方法です。

一般的な通信講座では、動画やテキスト教材が費用に含まれており、プログラムに沿って計画的にカリキュラムが進められるようになっています。また、わからない部分はオンラインで質問できるサポート体制が整っている講座も多く、1人で悩まずに学習を進めることができます。さらに、過去問対策や受験対策などのサポート、法改正などの情報も更新されるため、独学で勉強するより、効率的に勉強できます。

仕事や家庭の都合に合わせて無理なく学習を進められるため、働きながら資格を目指す人などにも適しています。プロの指導も受けられ、通学よりも自由な環境で学習したい人におすすめです。

保育士資格取得までに必要な勉強期間

保育士資格を取得するために必要な勉強時間は、学習方法や個人のペースによって異なりますが、一般的には100~180時間程度が目安とされており、1日1時間勉強する場合は約3~6ヶ月ほどの学習期間が必要と言われています

初めて学習するなら、最短でも試験までに3か月程度の勉強期間を考慮しておく必要があります。保育士試験は、4月(前期)・10月(後期)の2回実施されるため、その試験を目指して学習計画を立てるとよいでしょう。

保育士試験は合格率の低い難関試験です。試験の範囲も広いため、しっかりとした学習計画を立てて、少しずつ学習を進めるのがよいでしょう。

保育士とはどんな仕事?

保育士は、子どもたちの成長を見守りながら、心身の発達をサポートする仕事です。保育園や幼稚園、こども園などで、遊びや生活の中で子どもたちが楽しく学べるよう手助けします。

食事や着替え、トイレやお昼寝などの基本的な生活習慣を教えたり、友だちと仲良く遊ぶ力や協調性を育んだりします。また、保護者と一緒に子どもたちの成長を支え、子育てに関する相談にのったりアドバイスをすることも大切な役割です。

保育士は子どもたちと地域の方々との交流もサポートします。子どもたちが地域に見守られながら、安心して成長を感じられるような環境づくりをすることが大切です。

保育士を目指すメリット

やりがいを感じられる仕事

保育士は、子どもたちの成長を直接サポートする仕事です。子どもたちの成長を間近で見守り、できなかったことができるようになる瞬間に立ち会えるのは、保育士ならではの喜びです。初めてお話ができた、1人で着替えができたなど、小さな成長の積み重ねを見守り、サポートできることは保育士にとって特別な経験です。子どもたちが笑顔で楽しんでいる姿やなついてくれることは大きなモチベーションになります。

安定した需要がある

保育士は、共働き家庭の増加により、常に高い需要があります。保育園やこども園などでは人手不足が深刻で、資格を持っていれば安定して保育士として仕事に就くことができます。さらに、結婚や出産後、子どもが成長した後も再就職しやすいのが特徴です。自身の子育て経験を活かして働けるため、年齢を重ねても歓迎される職業です。

働ける場所が多い

保育士資格を取得すると、保育園や幼稚園だけでなく、児童養護施設や学童保育、病児保育といったさまざまな職場で働くことができます。また、ベビーシッターや企業内の託児所など、保育士資格を必要とする場所は多く、資格があれば選択肢が広がります。さまざまな環境で子どもたちと関わりながら、自身の経験を活かすことができます。

ライフスタイルに合わせて働ける

保育士の仕事は、正社員として働く方法だけでなく、パートタイムや契約社員としての働き方も選べるため、ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方ができます。たとえば、育児や家庭の都合に合わせて短時間勤務を選ぶことができるため、自分の生活スタイルの変化に対応しやすいのが魅力です。保育士は常に高いニーズがあり、資格を持っていれば仕事探しにも困らず、自分に合った働き方を選ぶことができます。

保育士に向いている人の特徴

子どもが好きで優しく接することができる人

保育士は、毎日子どもたちと接する仕事です。そのため、子どもが好きであることは欠かせない要素でしょう。子どもの成長のために何ができるかを常に考え、思いやりと愛情を持って指導できることが大切です。

忍耐力と冷静さがある人

子どもの気持ちや体調は日々変わるため、予定通りにいかないことも多くあります。思うように子どもが動かなかったり、保護者とのコミュニケーションがうまくいかなかったりする場面では、忍耐力が必要になります。さまざまな状況に柔軟に対応し、臨機応変に行動できる力が重要です。

コミュニケーション能力が高い人

保育では、子どもたちだけでなく、保護者や地域の方々とも協力する必要があるため、円滑なコミュニケーション能力が求められます。また、保育はチームで行うことが多く、他の保育士やスタッフとの連携も欠かせません。協調性を持ち、周囲と協力しながら働ける人が保育士に向いています。

体力や健康に自信がある人

保育では、子どもたちと遊んだり走り回ったりすることが多く、重い荷物を運ぶこともあるため、体力が必要です。また、長時間の勤務に耐えられる健康な体も求められます。さらに、インフルエンザやノロウイルスなどの感染症が流行することもあるため、日々の体調管理をしっかりできる人が保育士に向いています。

ポジティブ思考な人

保育士として働く中で、トラブルや困ったことは避けられません。そんな時に落ち込まず、前向きに物事を捉えられることが大切です。落ち込んだままだと、子どもたちにも悪影響が出ることがあります。気持ちを素早く切り替えて前向きに仕事に取り組める人は、保育士に向いています。

保育士資格に関するQ&A

保育士試験はどれくらいの難易度ですか?

保育士試験は、子どもの発達や保育理論など幅広い分野から出題されるため、勉強範囲が広いのが特徴です。難易度は決して低くはないのですが、しっかりとした学習計画を立てて取り組めば、合格は十分に可能です。自分に合った学習方法を選び、早めに準備を進めることが重要です。

保育士試験の合格率はどれくらいですか?

保育士試験の合格率は毎年平均して20〜30%程度です。特に筆記試験は広範囲から出題されるため、しっかりとした学習計画と継続的な勉強が必要です。また、保育士試験は科目ごとに合否が判定されるため、全科目に合格するまで数回に分けて挑戦することもできます。過去問や模擬試験を活用しながら効率よく勉強を進めることが、合格率を上げるためのポイントです。        

まとめ

保育士は、資格取得に年齢制限がなく、何歳からでも目指すことができる資格です。社会人として仕事をしながら資格試験を受けて、保育士を目指すこともできます。

保育士試験は合格率20~30%程度と難関試験ではありますが、計画を立てコツコツと学習を進めれば十分合格を目指すことができます。保育士は、子どもたちの成長を見守りながら、自身のキャリアや子育ての経験も活かして、一緒に成長していける魅力的な職業です。
専門学校に通うだけではなく、通信教育講座で学ぶこともできるので、自分に合った学習方法でチャレンジしてみてください。

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