保育士の仕事内容とは?資格ややりがい、一日のスケジュールを紹介
保育士は、小さな子どもを預かって、安心して過ごせる環境を提供する大切なお仕事です。保育園で働くイメージが強い保育士ですが、共働き世帯の増加や待機児童問題により、現在さまざまな場所で保育士の活躍が求められています。
この記事では、保育士の具体的な仕事内容や、スケジュールなどについて詳しく説明して、保育士という仕事について解説します。
保育士を目指している方や、保育士の仕事に興味のある方は、ぜひ参考にしてください。
保育士とは何か
保育士とは、乳児から小学校就学前までの子ども(0歳~6歳)を保育するための専門職です。主な役割は、乳幼児や児童の日常生活をサポートしながら、遊びや教育を通じて、子どもの心身の発達を促すことです。
子供との関係だけではなく、子供を預ける保護者とのコミュニケーションも大切な仕事です。家庭としっかり連携しながら、子どもの個性や成長段階に応じた適切なサポートをしなければなりません。
保育士として働くためには、国家資格である「保育士資格」の取得が必要です。
保育士の勤務場所
保育士の勤務場所は保育園、認定こども園、児童養護施設、乳児院、障害児施設、病院内保育所、企業内保育所、学童保育など多岐にわたります。
子どもの安全と適切な保育を確保するため、一定人数以上の保育士を配置することが法律で義務付けられているため、多くの保育士が活躍しています。
また、未就学児だけでなく18歳未満の子どもを対象としているため、児童館や学童クラブ、ベビーシッターなど公的施設から民間の施設までさまざまな場所で保育士資格は求められ、幅広い施設で保育士が勤務しています。
保育士の資格の取得方法
保育士になるためには以下の3つの方法があります。
・厚生労働省指定の養成校を卒業する
専門学校や短大、大学の保育士養成課程を修了すると、試験なしで資格を取得できます。
・保育士試験に合格する
学歴に関係なく、保育士試験に合格することで資格を取得できます。
・職業訓練の保育士養成講座を受講し養成校を卒業する
雇用保険受給資格者証を持っている求職者であれば、ハローワークの職業訓練の保育士養成講座を受講し養成校を卒業することで資格を取得できます。
保育士は国家資格?
保育士の資格は児童福祉法に基づく国家資格です。同法第18条において「登録を受け、保育士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者」と規定されています。
保育士として働くには、国家資格である「保育士資格」の取得と、都道府県知事への登録が必須です。国家資格であるため、一度取得すれば生涯持ち続けることができ、全国どこでも地域にかかわらず資格を活かすことができます。
2003年11月の児童福祉法改正以前は、「保母」と呼ばれる民間資格が存在していましたが、改正後は「保育士」に統一され、男女問わず取得可能な資格として広く認知されるようになりました。
保育士の仕事内容
保育士の仕事内容は働く場所によって異なりますが、共通していることは、子どもの身の回りのお世話をし、保護者とコミュニケーションをとりながら、子どもの安全を確保し、生活習慣や集団生活の大切さを教えていくことです。
園児の身の回りの世話
保育士の業務は、子どもたちが心身ともに健やかに成長できるよう、一人ひとりの年齢や発達に応じたサポートを行うことです。
年齢や月齢に合わせて、食事や排せつ、着替えなどの日常生活を手助けしながら基本的な生活習慣を身に付けられるようフォローをします。また、年齢が上がるにつれて、集団生活のルールを教えたり、仲間との接し方や遊び方を学べるよう導いていきます。
子どもたちはそれぞれ異なる個性を持っており、日常的にケンカなどのトラブルも起こりがちです。保育士には、子ども一人ひとりの個性や成長に寄り添い、その子に合った適切な対応をする力も求められます。寛容で温かい心を持ち、子どもたちを見守りながらサポートしなければなりません。
保護者とのコミュニケーション
保育士は、子どもが保護者と離れて過ごす時間を支えるだけでなく、保護者一人ひとりと向き合うことも重要な役割です。保護者の中には、日々の子育てに不安を抱えている方や、仕事と育児の両立に葛藤している方など、さまざまな事情を抱えている人もいます。
保育士は、保護者が安心して子育てできるように、話を聞いたり、必要に応じて保育の専門的な知識や情報を伝えることも大切な仕事です。子どもが健やかに成長できるよう、保護者と連携しながらサポートを行います。
また、地域の方々との交流を通じて、子どもたちが地域に見守られながら成長していることを実感できるよう支援することも、保育士の重要な仕事の一つです。
保育士の仕事のやりがい
小さな子どもと向き合う保育士の仕事は責任も伴いますが、成長を見守りながら多くのやりがいも感じます。保育士としての仕事の魅力ややりがいをご紹介します。
子どもたちの成長を感じられる
保育士として最もやりがいを感じられる瞬間は子どもたちの成長を見守られることです。初めて何かができたとき、できなかったことができるようになったとき、発表会や運動会など子どもたちが頑張って成果を上げたときなど、子どもの成長は保育士にとっても大きな喜びです。
子どもたちの成長を間近で見守れることは保育士の特権です。小さなころから成長を見守ってきた子どもの卒園する姿は保育士にとっても感慨深いものです。
子どもたちに信頼される
子どもたちと信頼関係を築けることも保育士のやりがいになります。子どもたちは日々の保育を通して保育士を信頼し、安心して心を開いてくれます。
子どもが笑顔で「先生大好き!」と言ってくれたり、自分から抱きついてきたりする瞬間は、保育士にとって大きな喜びです。また、困ったときに保育士を頼りにしてくれる姿を見ると、子どもの成長に寄り添っていることを実感できます。子どもたちとの温かい交流は、保育士としての仕事の大きなモチベーションになります。
保護者に感謝をされる
保護者との信頼関係を築き、感謝されることは、保育士の大きなやりがいの一つです。
育児に悩みを抱える保護者は少なくありません。相談を受けた際には、保育士として日々の経験や専門的な知識を活かし、適切なアドバイスを提供することも重要な役割です。実際にその子どもと毎日接しているからこそ、説得力のあるアドバイスをすることができます。
保護者の悩み解決に役立ち、感謝の言葉をもらえた時には、大きな喜びとやりがいを感じるはずです。保護者とともに子どもの成長を見守りながら、支え合える関係を築けることは、保育士ならではの魅力と言えるでしょう。
保育士の一日のスケジュール
保育園で働く保育士の一日のスケジュールについて、見ていきましょう。
保育園は、子どもを預けて出勤する保護者にあわせて、早朝7:00から開園しているところが多くなっています。閉園時間は、保育園によってバラバラですが、遅いところでは21時くらいまで預かってくれるところもあります。
そのため、ほとんどの園で、保育士は早番や遅番などシフト制での勤務形態をとられています。典型的な保育士の1日の主な流れは以下のようになっています。
| スケジュール | ||
|---|---|---|
| 時間 | 園児 | 保育士 |
| 7:00 | ・教室の掃除や換気など子どもたちの登園の準備 ・職員同士の引継ぎや情報共有 |
|
| 7:30~9:00 | 登園 | ・登園してきた子どもの健康状態をチェック ・身支度のフォローなどお世話 |
| 9:00 | 朝の会 | ・欠席者の確認や今日の予定などを子どもたちに伝える ・歌を歌ったり・体操・絵本の読み聞かせなど |
| 10:00 | クラス別保育 | ・散歩や外遊びなど年齢に応じた活動を行う |
| 11:30 | ・昼食準備 | |
| 12:00 | 昼食 | ・年齢に合わせた食事のサポート ・昼食の片づけ ・お昼寝の準備 |
| 13:00 | お昼寝 | ・お昼寝の見守り ・保育日誌や連絡帳の記入 ・園児が起きている間にできない作業を行う |
| 14:00 | 起床 | ・起床の手伝い ・布団の片づけ |
| 15:00 | おやつ | ・おやつの準備 ・サポート ・片づけ |
| 16:00~19:00 | 帰り会お迎え | ・読み聞かせや歌、帰りのあいさつなどをする ・子どもの引き渡し ・保護者へ園での様子を伝える ・翌日の準備 ・保育日誌の記入や保育計画の作成を行う ・掃除 |
保育士が心掛けていること
保育士は、保護者に代わって子どもを預かり、安心して過ごせる環境を整えながら保育を行う仕事です。子どもの安全を最優先に考え、常に行動に目を配る必要があります。また、子どもが不安を感じたときに優しく寄り添えるように、子どもの心の変化にも注意しなければなりません。
子どもは一人ひとり個性があり、成長のペースも異なります。それぞれの発達段階を理解し、その子に合った関わり方をすることが求められます。スムーズに育児を行うために、保育計画を立てたり事前に準備を行うことも重要です。
また、保育士の仕事には体力も必要です。特に季節によっては感染症が流行することもあるため、自身の体調管理も欠かせない大切なポイントです。
よくある質問
保育士や保育園について、よくある質問についてまとめました。
保育所保育指針とは何ですか?
年齢ごとに子どもの特徴や保育の内容とねらい、配慮事項を示したもので、保育所保育をすすめる上での手引きとなるものです。
幼保連携型認定こども園教育・保育要領とは何ですか?
幼保連携型認定こども園の教育課程その他の教育及び保育の内容や配慮すべき内容等に関する事項を定めたものです。
他機関との連携はありますか?
保育園だけでなく、地域全体が子育てに協力することで、子どもたちはより豊かな成長環境を得ることができるようになります。そのため、保育園は地域の他機関との連携も多くなっています。
具体的には、子どもの健やかな成長をサポートするという意味では、児童相談所、保健所、福祉事務所などがありますし、緊急の時に備えて、医療機関や警察などとの連携も重要です。また、老人ホームや近隣の小学校などとの良い関係を築いておくと、保護者も安心です。
地域との連携は、保護者への支援にもつながります。それぞれの役割・機能を生かしながら、子どもの保育にあたることが大切です。
地域子育て支援とは何ですか?
地域子育て支援とは、地域社会全体で子どもとその家庭を支援する取り組みのことです。地域の住民や団体が協力して、子育て支援を行うことが求められています。具体的には、子育て中の親子が集える場所や子育てを一緒に学べる場を提供することなどがあります。
地域のさまざまな機関が子育てを支えていますが、特に保育所・認定こども園が、その拠点となることが期待されています。
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まとめ
保育士は、子育てを行うさまざまな場所で求められている資格です。保育士資格は国家資格であり、一度取得すると生涯有効で、地域を問わず全国どこでも働くことができます。責任も重い仕事ですが、成長していく子どもたちを見守ることができるという、大きなやりがいを感じられる職業です。
保育士資格は指定の養成校を卒業するほか、保育士試験に合格することで取得できるため、仕事をしながら資格取得を目指すこともできます。