色彩検定とは?活躍できる仕事や1級・2級・3級の試験内容を紹介
色彩検定は色彩に関する知識を問う検定試験です。色彩はファッションやインテリアなど日常生活のさまざまな分野に欠かせないため、合格すると就職や転職・キャリアアップなどに生かせます。この記事では、色彩検定の試験内容や合格ライン、併願の可否、受験場所などを説明します。色彩検定を生かせる仕事や独学で合格を目指せるかについても解説しますので、受験を検討している方はぜひ参考にしてください。
色彩検定とは何か
「色彩検定」とは文部科学省後援の検定試験で、試験では配色技法(色の組み合わせ方)など色彩に関する知識が問われます。1990年のスタートから累計170万人以上が受験しており、合格者はアパレル・化粧品・インテリア・流通・広告などさまざまな分野で活躍しています。
1級、2級、3級、UC級とは
色彩検定には1級、2級、3級と、2018年に新設されたUC級があります。
3級では、日常生活や趣味などに役立つレベルの基礎知識・心理的効果・色彩体系(PCCS)について学びます。色に初めて携わる方や、これまで扱ってきたけれど理論的・体系的に学び直したいという方は、3級からスタートすると良いでしょう。
2級では、実務で役立つレベルの色彩調和について学びます。3級より専門的な内容になり、「照明」や「エクステリア」など応用分野も広がります。また、一般的に履歴書に記載するのは2級以上とされています。
1級では、「色のスペシャリスト」として自ら課題を解決し、アドバイスできるレベルの内容を学びます。1級に合格すると色彩実務担当者としてビジネスでの活躍が目指せる一方、色彩検定協会主催の「講師養成講座」への道も開けます。
UC(色のユニバーサルデザイン)級では、UC(色覚の多様性に配慮した色使い)について学びます。色が見えるしくみや色覚のタイプによる色の見え方、高齢者の見え方など理解し、色が見分けにくい方に配慮した色使いについて学習します。
色彩検定を生かせる仕事
色彩は日常生活のあらゆる場面に関わるため、色彩検定を通して得た知識はさまざまな分野で役立ちます。ここでは、特に色彩検定と関わりの深い業界や職業をご紹介します。
ファッション・美容
ファッション業界や美容業界では、配色や混色の理論など色彩検定を通じて得た知識を直接生かすことができます。例えば、次のような職業に就いている方やこれから目指す方にとって、色彩検定は非常におすすめです。
● アパレル販売員
● 美容師
● スタイリスト
● ネイリスト
● メイクアップアーティスト
色彩検定は「ファッションカラーコーディネーター検定試験」という名称でスタートしたこともあり、ファッション・アパレル業界で認知度の高い資格です。配色の理論を学ぶことでカラーコーディネートのセンスを磨くことができ、個人の感性や経験ではなく理論に基づいた提案が可能になります。
建築・インテリア
色彩検定には「インテリア」や「景観色彩」といった科目があり、建築やインテリア関連の仕事に生かせます。具体的な例として次のような職業が挙げられます。
● 建築デザイナー
● インテリアデザイナー
● インテリアコーディネーター
● プロダクトデザイナー
心地よい空間づくりや景観の色彩計画には、色彩検定の分野である「色彩心理」や「光と色(照明による色の見え方)」に関する知識が欠かせません。このため色彩検定は、建設業界やインテリア業界で働いている方のスキルアップや、これから目指す方のアピールポイントとしておすすめです。
商品開発・広告
色彩検定の知識は、目を引くパッケージや印象に残る広告作成にも活用できます。具体的な例として次のような職業が挙げられます。
● 企画
● 広報
● ウェブデザイナー
● グラフィックデザイナー
例えば、ブランドイメージを伝えるために「ブランドカラー」は重要です。また、デザイナーは配色に関する幅広い知識を持つことで仕事を効率的に進められ、クライアントの希望にも応えやすくなります。
色彩検定の主な試験内容
色彩検定の試験は、1級のみ年1回、その他の級は年2回実施されます。試験の内容や試験時間、検定料金などについて級ごとに見ていきましょう。
色彩検定1級の場合
実施時期 |
1次試験(11月) |
|---|---|
試験方式 |
1次:マークシート方式 |
検定料 |
15,000円※1次免除者も同じ |
試験時間 |
1次:80分、2次:90分 |
色彩検定1級はプロフェッショナルレベルの試験です。2級・3級で学習する内容に加え、「色彩と文化」「色彩調和論」「光と色」「色の表示」「測色」「色彩心理」「色彩とビジネス」「ファッション」「景観色彩」などに関する十分な理解と技能が必要です。
ほかの級の試験は夏と冬の年2回実施されるのに対し、1級は冬のみ年1回です。また、試験は1次と2次に分かれており、2次では筆記に加え実技試験もおこなわれます。
色彩検定2級の場合
実施時期 |
夏期(6月) |
|---|---|
試験方式 |
マークシート方式(一部記述式) |
検定料 |
10,000円 |
試験時間 |
70分 |
色彩検定2級は、色彩についての知識を実務に生かしたい方向けの試験レベルです。3級の内容に加えて「照明」「色名」「表色系」「配色技能」「配色イメージ」「ファッション」「プロダクト」「インテリア」「エクステリア」などについて基本的な理解と技能が必要です。
色彩検定3級の場合
実施時期 |
夏期(6月) |
|---|---|
試験方式 |
マークシート方式 |
検定料 |
7,000円 |
試験時間 |
60分 |
色彩検定3級は、入門レベルの試験です。「色のはたらき」「色はなぜ見えるのか」「色の分類と三属性」「PCCS」「色の心理効果」「色彩調和」「配色イメージ」「ファッション」「インテリア」「慣用色名」などに関する基本的な理解が求められます。
色彩検定UC級の場合
実施時期 |
夏期(6月) |
|---|---|
試験方式 |
マークシート方式(一部記述式) |
検定料 |
6,000円 |
試験時間 |
60分 |
色彩検定UC級では、「色のユニバーサルデザイン」「色が見えるしくみ」「色の表し方」「色覚のタイプによる色の見え方」「高齢者の見え方」「色のUDの進め方」などについて、配色の注意点や改善方法の理解が必要です。
色彩検定の受検資格
色彩検定には年齢や実務経験などの受験資格はなく、誰でも、何級からでも受験できます。
専門学校生・大学生・高校生など10~20代の受験者が多いのが特徴で、2018年には中学3年生が1級に最年少で合格しています。また、ファッションやインテリアなど色彩を直接扱う業界だけでなく、流通・販売・小売業、サービス業、IT・コンピューター関連など幅広い分野の社会人も毎年多く受験しています。
色彩検定の合格ラインは?
|
1級 |
2級 |
3級 |
UC級 |
|
|---|---|---|---|---|---|
合格ライン |
140点前後 |
140点前後 |
140点前後 |
160点前後 |
|
2023年度 |
夏季検定 |
ー |
146点 |
140点 |
160点 |
冬期検定 |
1次:140点、2次:142点 |
140点 |
140点 |
160点 |
|
2023年度合格率 |
41.4% |
72.2% |
74.1% |
83.6% |
|
色彩検定の合格ラインは、1~3級は200点満点中140点前後、UC級は200点満点中160点前後です。問題の難易度により変動するため、試験回ごとに多少違いがあります。
2級・3級・UC級の合格率は70~80%程度で、しっかり試験対策すれば合格は難しくありません。1級の合格率は40%程度とほかの級に比べて下がりますが、資格試験の1級の中では比較的易しいといわれています。
3級と2級を同時に受検可能?
色彩検定の試験時間はほかの級と重複しないようスケジュールが組まれているため、同日に3級と2級、3級とUC級などの併願も可能です。
また、自分のレベルに合わせて何級からでも受験できます。ただし、2級には3級、1級には2級・3級で学ぶ内容が試験範囲に含まれるため、例えばいきなり2級を受ける方は3級の内容を十分に理解したうえで2級の学習に進みましょう。
色彩検定の受検場所
色彩検定は、北海道から沖縄まで全国の公開会場で実施されます。試験会場は、原則として申し込み時に選択した希望エリアに基づいて決められ、特定の会場を選ぶことはできません。
受験地のエリアと実施都市は色彩検定協会ホームページから検索できます。なお、1級2次試験の会場は、札幌市・仙台市・東京23区・金沢市・名古屋市・大阪市・広島市・福岡市のみです。
色彩検定は独学で勉強・合格できる?
色彩検定は、センスやアイデアではなく知識や理論が問われる試験です。最も難易度の高い1級でも公式テキストをしっかり理解すれば十分合格を目指せるため、毎年多くの方が独学で合格しています。
これまで色彩を学んだことがない方でも、1~2ヵ月間1日30分~1時間程度勉強すれば3級合格を目指せるといわれています。公式テキストをしっかり読み込んだうえ、市販の問題集や過去問で知識が身についているか確認すると良いでしょう。
「3級を飛ばして2級合格を目指したい」「就職や転職に向けて短期間で合格を目指したい」など、効率的に学習を進めたい方には、通信講座の利用もおすすめです。わかりやすい講義動画や実践的な問題集で、万全の試験対策が叶います。
まとめ
色彩検定は色に関する知識や技能を問う検定試験で、1級~3級のほか、色覚の多様性に配慮した色使いについて学べるUC級があります。試験では色彩理論、配色、心理的効果、ビジネスやファッションでの活用方法などが問われるため、学習を通じてデザインや販売、企画など幅広い分野での色彩感覚向上が期待できます。
色の知識は趣味や日常生活にも役立ちますが、仕事で活用するなら2級以上の取得がおすすめです。色彩に興味のある方は、就職や転職、キャリアアップに生かすために受験を検討してはいかがでしょうか。