登録販売者とは?試験の概要や日程、勉強方法について解説

ドラッグストアや薬局で医薬品の販売ができる「登録販売者」とは、具体的にどのような資格であり、その難易度はどの程度なのでしょうか。この記事では、登録販売者試験の概要や合格基準、申し込みの流れなどを詳しく解説します。また、2024年の試験日程や、効果的な勉強方法なども紹介しますので、資格の取得を検討している方はぜひ参考にしてください。

登録販売者とは何?

登録販売者とは、薬局やドラッグストアなどで一般用医薬品の販売ができる専門資格です。登録販売者が取り扱えるのは第二類・第三類医薬品に限定されていますが、これらは一般用医薬品の約9割を占めています。薬剤師が不在でも登録販売者がいれば、ほとんどの一般用医薬品を販売できることから、薬剤師不足を補う人材として企業からのニーズが高い資格です。

登録販売者試験の日程

登録販売の試験日

登録販売者試験は、年に1回、各都道府県で実施されます。試験の日程は地域によって異なりますが、例年8月下旬〜12月中旬頃です。なお、申し込み締切は試験日の約2〜3か月前が目安になります。

2024年の日程

2024年度 登録販売者試験の日程は以下の通りです。なお、天候の影響により試験日が変更になった地域もあるため、自分が受験する地域のホームページ情報もあわせて確認しましょう。

・北海道地方

地域

試験日

申し込み期間

北海道

令和6年8月28日(水)

令和6年6月4日(火)~ 6月25日(火)


・東北地方

地域

試験日

申し込み期間

青森県

令和6年8月28日(水)

令和6年6月19日(水)~ 6月25日(火)

岩手県

令和6年8月28日(水)

令和6年5月29日(水)~ 6月11日(火)

宮城県

令和6年8月28日(水)

令和6年6月4日(火)~ 6月25日(火)

秋田県

令和6年8月28日(水)

令和6年6月4日(火)~ 6月25日(火)

山形県

令和6年8月28日(水)

令和6年6月4日(火)~ 6月25日(火)

福島県

令和6年8月28日(水)

令和6年5月14日(火)~ 6月11日(火)


・関東地方

地域

試験日

申し込み期間

茨城県

令和6年8月29日(木)

令和6年6月5日(木)~ 6月18日(火)

栃木県

令和6年8月29日(木)

令和6年6月12日(水)~ 6月21日(金)

群馬県

令和6年8月29日(木)

令和6年5月23日(木)~ 6月6日(木)

千葉県

令和6年9月8日(日)

令和6年5月20日(月)~ 6月7日(金)

埼玉県

令和6年9月8日(日)

令和6年5月20日(月)~ 5月31日(金)

東京都

令和6年9月8日(日)

令和6年5月20日(月)~ 5月31日(金)

神奈川県

令和6年9月8日(日)

令和6年5月20日(月)~ 5月31日(金)


・中部地方

地域

試験日

申し込み期間

福井県

令和6年12月22日(日)

令和6年5月27日(月)~ 6月10日(月)

富山県

令和6年9月4日(水)

令和6年5月10日(月)~ 6月21日(金)  

石川県

令和6年9月4日(水)

令和6年6月3日(月)~ 6月14日(金)    

岐阜県

令和6年9月4日(水)

令和6年6月3日(月)~ 6月14日(金)    

静岡県

令和6年9月4日(水)

令和6年5月20日(月)~ 6月3日(月)

愛知県

令和6年9月4日(水)

令和6年6月10日(月)~ 6月14日(金)

三重県

令和6年9月4日(水)

令和6年6月10日(月)~ 6月21日(金)

山梨県

令和6年8月29日(木)             

令和6年6月3日(月)~ 6月14日(金)

長野県

令和6年8月29日(木)             

令和6年5月20日(月)~ 5月31日(金)

新潟県

令和6年8月29日(木)             

令和6年5月28日(火)~ 6月13日(木)


・近畿地方

地域

試験日

申し込み期間

滋賀県

令和6年12月22日(日)

令和6年5月27日(月)~ 6月10日(月)

京都府

大阪府

兵庫県

和歌山県

奈良県

令和6年12月22日(日)

令和6年5月27日(月)~ 6月10日(月)

※滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・和歌山県の試験案内は関西広域連合よりおこなわれます。

・中国地方

地域

試験日

申し込み期間

鳥取県

令和6年11月13日(水)

令和6年8月2日(金)~ 8月16日(金)

島根県

令和6年11月13日(水)

令和6年8月2日(金)~ 8月16日(金)

岡山県

令和6年11月13日(水)

令和6年8月2日(金)~ 8月16日(金)

広島県

令和6年11月13日(水)

令和6年8月2日(金)~ 8月16日(金)

山口県

令和6年11月13日(水)

令和6年8月2日(金)~ 8月16日(金)


・四国地方

地域

試験日

申し込み期間

徳島県

令和6年12月22日(日)

令和6年5月27日(月)~ 6月10日(月)

香川県

令和6年11月13日(水)

令和6年8月2日(金)~ 8月16日(金)

愛媛県

令和6年11月13日(水)

令和6年8月2日(金)~ 8月16日(金)

高知県

令和6年11月13日(水)

令和6年8月16日(金)~ 8月30日(金)

※徳島県の試験案内は関西広域連合よりおこなわれます。

・九州、沖縄地方

地域

試験日

申し込み期間

福岡県

令和6年12月15日(日)

令和6年8月19日(月)~ 8月30日(金)

佐賀県

令和6年12月15日(日)

令和6年8月19日(月)~ 9月6日(金)

長崎県

令和6年12月15日(日)

令和6年8月19日(月)~ 8月30日(金)

熊本県

令和6年12月15日(日)

令和6年8月19日(月)~ 8月30日(金)

大分県

令和6年12月15日(日)

令和6年8月19日(月)~ 8月30日(金)

宮崎県

令和6年12月15日(日)

令和6年8月19日(月)~ 8月30日(金)

鹿児島県

令和6年12月15日(日)

令和6年8月19日(月)~ 8月30日(金)

沖縄県

令和6年12月15日(日)

令和6年8月26日(月)~ 9月6日(金)

登録販売者試験の概要

登録販売者試験の受験条件

登録販売者を受験するための条件はないため、年齢や学歴、職歴に関係なく、誰でも受験することができます。
また、医薬品の専門的な知識が必要なため、試験も難しいのではないかと心配される方もいますが、試験で出題されるのは基本的な問題が多く、合格率は40〜50%程度と、地道に対策をすればどなたでも合格を目指せる資格です。

登録販売者試験の受験にかかる費用

受験料は全国一律ではなく、受験する地域によって異なります。受験料が最も安い地域で12,800円、最も高い地域では18,200円です。
そのほか、独学でテキストや問題集を購入する場合は教材費として5,000円程度、通信講座を利用する場合は40,000円台〜70,000円台の費用がかかると考えておきましょう。遠方の試験会場で受験する場合は、宿泊費などがかかることもあります。

登録販売者試験の試験会場

登録販売者の試験問題は地域によって異なります。難易度に大きな差はありませんが、合格率が最も高い地域と最も低い地域では、約40%もの差が出る年もあります。そのため、過去の合格率を参考に試験会場を選択するのも一つの方法です。

また、試験は居住する都道府県以外の地域で受験することも可能です。手続きと費用が別途必要になりますが、試験日が被らなければ、滑り止めに他県と併願受験することもできます。

登録販売者試験の試験内容

試験の内容はすべて、厚生労働省が作成する「試験問題作成の手引き」から出題されます。この手引きは1章〜5章から成っており、それぞれの章(科目)から決められた問題数が出題されています。全120問、選択式のみで記述問題はありません。

〈出題科目〉
1.医薬品に共通する特性と基本的な知識(20問)
2.人体の働きと医薬品 (20問)
3.主な医薬品とその作用(40問)
4.薬事関係法規・制度(20問)
5.医薬品の適正使用・安全対策(20問)

※科目ごとの問題数は全地域共通

登録販売者試験の試験時間

試験は前半と後半に分けておこなわれ、それぞれ120分ずつの計240分です。また、前半と後半のあいだに90分の休憩を挟むため、試験は半日がかりとなるでしょう。なお、試験の開始・終了時間、および前半と後半にどの科目が割り当てられるかは、地域によって異なります。

登録販売者試験の合格点と難易度

試験に合格するには、以下の2点を満たしている必要があります。

  1. 全体で7割以上の得点があること。
  2. 各科目で必要な割合(地域ごとに異なる)を正答していること。

地域ごとに定められている各科目の正答割合基準は、「4割以上」または「3.5割以上」です。一見、正答割合基準が3.5割以上の方が合格しやすいように思いますが、問題の難易度によっては、そのぶん正答数も減ってしまう可能性があるため、一概にどちらが合格しやすいとはいえません。

また、各科目の正答割合基準は合格発表時に公開される地域が多く、例年とは基準が異なる可能性もあります。以上の理由から、4割以上は確実に得点できるよう準備しておくのが望ましいです。

合格者に定員はないため倍率はありませんが、全体の合格率は40〜50%程となっています。難易度は決して高くない試験ですが、半数程度は不合格となっていることから、万全を期して試験に臨む必要があります。

登録販売者試験の申し込みの流れ

1.願書を入手

試験に申し込むために、まずは願書を入手しましょう。入手方法は以下の3つです。

  1. 保健所や健康福祉センターなどの窓口で受け取る
  2. 郵送で取り寄せる
  3. WEBでダウンロードする

願書は配布期間を過ぎると入手できないため、受験地域の配布スケジュールを事前に確認し、余裕を持って受け取るようにしましょう。窓口に行くことが難しい場合は、郵送で願書を取り寄せることも可能です。なお、地域によっては自治体のホームページから願書をダウンロードすることもできます。

2.提出物の準備

申し込みにあたっては、願書、写真、受験料(各都道府県指定の収入印紙)、返信用封筒・切手が必要になります。都道府県によって申請方法は異なりますが、郵送申請や電子申請が一般的です。受験料は、郵送申請であれば各地域指定の金融機関などで支払い、電子申請であればクレジットカードなどで支払います。

3.受験票を受領

申し込みが無事に完了すれば、願書に記載した住所に受験票が届きます。受験票は試験当日に必要なため、大切に保管してください。電子申請では、申請システムにアップロードされた受験票を印刷して試験当日に持参する場合もあります。試験日の2週間前になっても受験票が届かないときは、問い合わせ先に必ず連絡しましょう。

登録販売者資格は独学で取得可能?

登録販売者試験は合格率が40〜50%と難関ではなく、出題内容も基本的なものが多いため、独学でも取得が目指せる資格です。ここでは、独学での勉強法の一例を紹介します。

  1. はじめにテキストを数回読んで全体像を把握する。(暗記はしようとしなくて良い。)
  2. 科目ごとに過去問を繰り返し解き、知識を深める。
  3. 苦手なポイントや何度も間違えてしまう内容をノートにまとめる。

これに加えて、YouTubeなどを利用した耳からのインプット、隙間時間を利用したアプリ学習などもおすすめです。

なお、独学の場合は上記のように自分で学習ポイントを整理したり、理解できない部分を調べたりと、地道な作業も少なからず発生します。

効率的に学習を進めたい場合は、通信講座などを利用するのも一つの方法です。通信講座では、分からないことを講師へ質問できたり、課題を講師に添削してもらえたりするメリットがあります。

いずれにせよ、自分に合った勉強法で、計画的に学習を進めることが大切です。

登録販売者資格合格までの勉強時間の目安

登録販売者に合格するために必要な勉強時間は、200〜300時間が目安とされています。1日2時間程度の学習で、最短約3か月で合格を目指せるという計算です。ただし、この時間はあくまで目安であり、学習の進捗には個人差があります。知識を確実に身につけることが重要であるため、余裕を持ったスケジュールで学習を進めましょう。

登録販売者試験に関するよくある質問

Q.登録販売者は国家資格ですか?

登録販売者は都道府県から認定を受ける専門資格ですが、「国家資格一覧」に記載がないため、厳密には国家資格とは呼べません。しかし、総務省の「国の資格制度一覧」には登録販売者の記載があるため、国に認められた「公的資格」であることは間違いなく、国家資格に準ずる社会的信頼度が高い資格であるといえます。

Q.試験合格後に必要な手続きは?

登録販売者に合格したら、まずは勤務先を決定し、その後「販売従事登録」をおこないます。この登録をしていないと、医薬品を販売することができません。また、単独での医薬品販売が可能な正規の登録販売者として働くためには、「登録販売者研修生」として一定期間の実務経験が必要です。キャリアアップを目指すのであれば、合格後は早期に実務経験をスタートさせるのが望ましいでしょう。

まとめ

一般用医薬品はドラッグストアや薬局だけでなく、コンビニ、ホームセンター、家電量販店などでも販売されるようになっており、登録販売者のニーズは広がっています。

また、登録販売者の資格は販売職だけでなく、製薬会社営業や介護施設職員、エステサロンのアドバイザーなど、薬と健康に関わるさまざまな業務に役立ちます。

医薬品の知識を身につけて専門的な仕事に就きたい方は、ぜひ登録販売者資格にチャレンジしてみましょう。

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