【2024年最新版】簿記3級は難しい?ネット試験や勉強時間、合格率を解説 | TECHのススメ

日商簿記3級は毎年多くの人が受験する人気の資格です。経理や会計の仕事に役立つほか、就職や転職時のアピールポイントにも使えるため、取得したいと思っている方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、試験日程や問題の難易度、合格点や合格率の推移を解説します。合格に必要な勉強時間や効率的な勉強方法も紹介しますので、試験対策にお役立てください。

日商簿記3級とは?

日商簿記3級は日本商工会議所が主催する簿記試験で、小売業や卸売業などで使われる「商業簿記」の基礎的な知識が問われます。初心者にも比較的取りやすいため、年齢や職業を問わず多くの人が受験しています。日商簿記には初級もありますが、実務で使うにはもの足りません。このため、実質的には3級が簿記の登竜門と位置づけられています。

日商簿記3級の知識は就職や転職の際のアピールポイントになり、経理や会計などの求人では必須資格としている場合もあります。

試験概要

日商簿記3級には、筆記で解答する統一試験とパソコンを使って解答するネット試験の2種類があります。どちらに合格しても日商簿記3級の資格に変わりはないため、自分の都合や好みに合わせて受験できます。受験料も試験による違いはなく、どちらも税込3,300円です。

なお、申し込み方法は受験地の商工会議所によって異なります。詳しくは商工会議所のホームページでご確認ください。

ネット試験について

試験日程

随時(ネット試験会場の定める日時)

出題形式

選択式+入力式3題以内

合格基準

100点満点中70点以上

受験資格

とくになし

試験申し込み日程

受験日の3ヵ月前から3日前まで

日商簿記3級のネット試験は、2020年12月に導入されました。試験は全国のテストセンターや商工会議所パソコン教室で受けられ、試験日程は会場により異なります。問題はパソコンで出題され、マウスやキーボードによる選択や入力で解答します。試験後はすぐに自動採点され、結果はその場で確認できます。合格した場合は、PDFによるデジタル合格証が受け取れます。

受験料は統一試験と同じですが、インターネット申込でネット試験を受験する場合は事務手数料として税込550円が別途必要です。

統一試験について

試験日程

年3回(6、11、翌年2月の日曜日)

出題形式

ペーパー形式

合格基準

100点満点中70点以上

受験資格

とくになし

試験申し込み日程

受験地の商工会議所により異なる

統一試験は従来から実施されている筆記試験で、大学などの会場を利用して年に3回おこなわれます。2024年度の試験日程は、6月9日(日)、11月17日(日)、2025年2月23日(日)です。

合格発表日は受験地の商工会議所により異なりますが、試験からおおむね2~3週間後で、合格証書は紙で発行されます。

なお、東京商工会議所では2023年4月から統一試験を廃止し、ネット試験のみ実施しています。

日商簿記3級の合格率

日商簿記3級の合格率は、おおむね40%程度といわれています。実際に、2023年4月~2024年3月のネット試験の合格率は37.1%、直近で実施された統一試験(167回)の合格率は40.7%でした。

簿記2級の合格率は15〜30%程度、簿記1級の合格率は10%程度なのを考えると、簿記3級の合格率は高めといえます。

合格率の推移は?

日商簿記3級の過去3年分の合格率の推移を、ネット試験と統一試験に分けて見ていきましょう。

<ネット試験>

期間

受験者数

合格者数

合格率

2023年4月~2024年3月

238,155名

88,264名

37.1%

2022年4月~2023年3月

207,423名

85,378名

41.20%

2021年4月~2022年3月

206,149名

84,504名

41.00%

合計

710,427名

282,189名

39.72%

データ出典:簿記 2級・3級受験者データ(ネット試験) | 商工会議所の検定試験

<統一試験>

 

試験日

申込者数

受験者数

合格者数

合格率

167回

2024.6.9

24,497名

20,927名

8,520名

40.70%

166回

2024.2.25

28,565名

23,977名

8,706名

36.3%

165回

2023.11.19

30,387名

25,727名

8,653名

33.60%

164回

2023.6.11

31,818名

26,757名

9,107名

34.0%

163回

2023.2.26

37,493名

31,556名

11,516名

36.5%

162回

2022.11.20

39,055名

32,422名

9,786名

30.2%

161回

2022.6.12

43,723名

36,654名

16,770名

45.8%

160回

2022.2.27

52,649名

44,218名

22,512名

50.9%

159回

2021.11.21

58,025名

49,095名

13,296名

27.1%

合計

346,212名

291,333名

108,866名

37.37%

データ出典:3級受験者データ(統一試験) - 簿記

過去3年のネット試験と統一試験の結果を比較すると、合格率に大きな差はないことがわかります。また、実施年や実施回ごとの差はありますが、おおむね40%程度で推移しています。

なお、第158回統一試験の合格率が低いのは、試験時間や出題形式の変更の影響と考えられています。合格する実力がある人も不合格になったことから、その後の第160回、第161回の合格率が上昇したと推測されます。

日商簿記3級の合格点は?

日商簿記3級は100点満点中70点が合格点です。7割以上の正解というと難しそうと感じるかもしれませんが、基本的な知識を問う問題が多く、計算問題では電卓が使用できます。このため、事前に対策をおこなったうえで適切に時間配分すれば、十分に合格点が目指せます。

日商簿記3級の難易度は?難しいポイントは3つ

日商簿記3級の合格率は40%程度で、難易度は比較的低めです。しかし、3級が初めての簿記検定という方にとっては、難しく感じるポイントが複数あります。

ここでは、多くの方がつまづきやすいポイントを3つ紹介します。

①不慣れな用語が多くあること

経理や会計の仕事に携わっていない方がいきなり簿記3級の勉強を始めると、「勘定科目」「貸借対照表」「損益計算書」「仕訳」などの専門的な用語を難しく感じることが多いです。

こういった用語は日常生活ではあまり使いませんが、簿記を理解するうえで必要不可欠です。スムーズに勉強を進めるために、まずは用語をしっかり理解することが大切です。

②仕訳のルールを覚える必要があること

仕訳とは、取引の内容を分類して金額とともに帳簿に記録する、簿記の基本ともいえる作業です。帳簿は貸方(かしかた)は左、借方(かりかた)は右と2つに分かれており、どちらに記入するかを覚える必要があります。

日商簿記3級では仕訳問題の配点が高いため、合格するためにはしっかりルールを覚え、スムーズに仕訳できるようになる必要があります。

③勘定科目を覚える必要があること

仕訳をおこなうためには、ルールだけでなく「勘定科目」も覚える必要があります。勘定科目とは取引内容を帳簿に記録する際に使う項目で、「資産」「負債」「純資産」「収益」「費用」に大きく分けられます。

それぞれの項目はさらに細かく分類され、例えば「資産」は「現金」「貸付金」「備品」「建物」「商品」などに分けられます。仕訳するには数多くの科目とその意味を覚える必要があるため、難しく感じる方が多いです。

合格するための勉強について

日商簿記3級の難易度は比較的低いため、多くの方は独学で試験に臨んでいます。ここでは、独学におすすめのテキストや合格に必要な勉強時間を紹介します。

過去問・教材

出典:簿記 3級関連書籍 | 商工会議所の検定試験

1つのテキストに絞って学習を進めたい方には、株式会社カリアックの『日商簿記3級テキスト』がおすすめです。日本商工会議所が公認する唯一の教材で、テキスト・記帳練習帳・練習問題解答・選定実践問題集がセットになっています。簿記を初めて学習する方も理解しやすく、試験前の知識確認まで対応できます。

また、日商簿記3級は人気が高いため、多くの出版社からテキストや問題集が出版されています。イラストが多いものや練習問題が充実しているものなど内容が異なるため、自分に合ったものを選ぶと良いでしょう。

とくに経理や会計の知識ゼロからスタートする方は、お金のやり取りの流れを文章からイメージするのは難しいため、イラストによる解説が載っているテキストを選ぶと効果的に学習を進められます。

また、試験の出題範囲は時勢に合わせて適宜変更され、直近では2019年6月に改定がおこなわれました。このため、テキストを選ぶ際は最新の出題範囲に対応しているか確認することも大切です。

勉強時間はどれくらい

簿記初学者が日商簿記3級に合格するには、100時間程度の勉強が必要といわれています。最短で合格を目指すなら、1日約3〜4時間程度を勉強に充てる計算です。しかし、実際には1ヵ月間集中して取り組むのは難しいことから、1日あたり30分〜2時間程度の勉強で3〜6ヵ月ほどかけて試験に臨む方が多いようです。

毎日決まった勉強時間を確保するのが難しい場合は、休み日に集中して勉強したり、通勤や通学、休憩などのすきま時間を活用するなど工夫が必要です。

なお、商業高校で簿記を学んでいる人や、経理や会計の仕事に関わっている人であれば、100時間より短い勉強時間で合格を目指せます。

独学で合格できる?

日商簿記3級の難易度は決して高くないため、独学でも十分合格可能です。実際に、受験者の8割程度は独学で試験に臨んでいるといわれています。近頃では、書籍のテキストや問題集だけでなく、無料のアプリや学習動画も充実しています。上手に取り入れて、勉強の効率アップに生かしてはいかがでしょうか。

独学だと不安な方やモチベーションが維持できないという方には、通信講座がおすすめです。必要なテキストや問題集がすべて用意されており、設定した終了スケジュールに合わせて無理なく学習を進められます。

簿記3級が生かせる仕事2選

日商簿記3級に合格すると、履歴書に書けるだけでなく実際の仕事でも役立ちます。日商簿記3級レベルの知識はどのような仕事に生かせるのかを見ていきましょう。

①経理

企業の経理職は、会社のお金や取引の流れを管理する仕事を担います。仕事の内容は企業の規模や業種により異なりますが、伝票や請求書の作成、経費精算、給与計算、税務申告、決算書類の作成など幅広い業務をおこないます。

経理職に簿記の資格は必須ではありません。また、会計ソフトは簿記を知らない人でもある程度使えます。しかし、日商簿記3級合格に向けて勉強することで、取引やお金の流れをイメージでき、仕事の内容も理解しやすくなります。

経理職の年収は、会社の規模や業種により大きな差がありますが、平均400万円程度といわれています。携わる仕事の専門性によっても収入に差が生じるため、簿記3級からスタートして知識を増やすことは年収アップを目指すうえでも有効です。

②会計事務員

会計事務員とは企業のお金に関する業務を担う事務員で、おもに会計事務所の事務職を指します。会計事務所は税理士や公認会計士が運営する事務所で、中小企業や個人事業主などの記帳業務や決算処理、税務業務などを請け負っています。業務では実践的なスキルや簿記の知識が求められるため、経理での実務経験や簿記3級以上の資格が必須の求人が多いです。

会計事務所に勤める人の平均年収は450万円程度とされていますが、これには税理士や公認会計士が含まれるため、資格を持たない事務員の年収はもう少し低めです。

会計事務所では業務を通じて会計の知識が身につくため、税理士や公認会計士試験に向けて働きながら勉強している方も少なくありません。簿記の知識は税理士や公認会計士を目指すうえでも役に立つため、まずは簿記3級からスタートするのもおすすめです。

③税理士補助

税理士補助は、税理士の指示によって税務申告に必要な集計作業や書類作成をおこないます。求人の多くは税理士事務所や会計事務所から出され、会計事務員にとって税理士補助は業務内容(またはその一部)にあたります。

「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」は税理士の独占業務ですが、税理士の補助ということであれば税理士資格は不要です。しかし、日常的に税理士と専門的なやり取りをおこなうため、簿記や税金に関する知識は必須です。

税理士補助としての平均年収のデータはありませんが、会計事務員と同じと考えて良いでしょう。

税理士補助の仕事についている人は、税理士を目指す人からパートやアルバイトまでさまざまで、最近ではテレワークに対応している事務所も。比較的自分の都合に合わせて働きやすい仕事といえるでしょう。求められる資格やスキルは事務所によって異なりますが、簿記の資格があると採用に有利な傾向にあります。

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まとめ

日商簿記3級は、経理や会計の仕事に役立つ人気の資格です。2020年からは従来の筆記試験に加えてネット試験が導入されたため、より自分の都合に合わせて受験しやすくなりました。

合格率は40%程度と難易度は低めで、簿記の知識がない方でも十分合格を目指せます。勉強法は独学が主流ですが、モチベーションの維持が難しい方やサポートを受けながら学びたい方には通信講座がおすすめです。

簿記3級を取得すると就職や転職に生かせるほか、税理士や公認会計士などの難関資格を目指す際に役立つ知識も身につきます。キャリアアップや収入アップを目指す方も、日商簿記3級にチャレンジしてはいかがでしょうか。

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